竹についてのお話 群馬県若山農場訪問記
竹を使った植栽について皆さんはどのようなイメージをお持ちですか?
増えすぎて困る。
手入れが大変。
駆除が困難。
などなど、マイナスのイメージの方が多いかもしれません。
実は私もそうでした。
特にここ九州は竹が生い茂り荒れてしまった山が沢山。
山沿いのお客様の家では、竹が勝手に庭に入ってきて困る、という話も聞いたことがあります。
それくらい、竹は厄介者!というイメージで凝り固まっていました。
http://muchpoint.blog101.fc2.com/blog-entry-4551.html
そんな中、ホテルの植栽デザインのお仕事で、是非とも竹を使った植栽をして欲しい!との要望を頂いた私。
そのホテルのコンセプトは「竹」。
これは避けて通れない…
というわけで、竹についてしっかりと勉強するため、はるばる群馬県まで行ってきました!!
するとまあ、竹の面白いこと面白いこと!!
正直、今度のホテルの植栽大変そうだな…という私の中のイメージはガラッと変わりました!
今回はそんな竹の魅力についてお話していきたいと思います^^
株式会社ワカヤマファーム代表 若山太郎さんに聞く、竹の素晴らしい魅力
今回竹について色々教えて下さったのはこの方。
群馬県にある株式会社ワカヤマファームの代表、若山太郎さんです。
なんと竹を専門に生産している生産者さんは日本に2軒しかないとのことで、その貴重な生産者さんの一人です。
雨で足元の悪い中、じっくりと時間をかけて熱く竹について語ってくださいました^^
こちらのワカヤマファームさんは、若山農場という圃場を管理されており、親子3代80数年にわたり竹と栗を生産・販売しています。
その広さ、なんと約20ヘクタール!!
これは何と東京ドームの約5倍の広さ!
その広大さが分かりますね^^
整然と管理されたその竹林は何とも言えない独特の美しさがあり、映画・TV番組のロケ地としても人気があるそうです。
映画るろうに剣心やおーいお茶のCMなどもここで撮影されたそうですよ^^
そしてそんなワカヤマファームさんの主力商品がこちら。
ワカヤマファームさんが50年に及ぶ研究の末に開発した『ヒメアケボノモウソウ』です。
実は竹の品種改良。
長い間これは不可能なこととされてきました。
花を咲かせるのは50年~100年に一度。
そのチャンスを逃さないように掛け合わせて品種改良するのは恐らく並大抵の困難ではなかったでしょう。
ただ、その努力の結果生み出された品種が、こちらのヒメアケボノモウソウなのです。
このヒメアケボノモウソウ、何がすごいかというとその生育後の大きさです。
通常のモウソウチクが最大15mほどまで大きくなる一方、こちらのヒメアケボノモウソウは成長しても最大9mほど。
平均では6m程度に収まる優秀なサイズ。
つまりは管理しやすい!ということなのですね^^
ちなみに話は逸れますが、竹の生育スピードってご存知ですか??
通常竹は春に地下茎からタケノコを地表に出します。
馴染みのあるこのようなタケノコですね。
そしてそれから約3か月。
竹はどの程度まで成長すると思いますか?
(モウソウチクの場合)
なんと…
12~15m!!
すごい成長スピードです!!!!
ただタケのすごいところ。
それは伸びるのはこの最初の年の数か月だけ、ということ。
つまりは私たちが竹を見た時の大きさは、そのタケノコが数か月で伸び切った姿なのです!!
毎年成長すると思っていた私はこれを知っただけでもビックリです!
一生に一度しか成長しないとは…
そしてあの数十メートルの大きな竹がたった数か月で成長したものだったとは…
下の写真の右側の青っぽい立派な竹。
これも足元をみてみるとタケノコの皮が付いていることから明らかなように今年伸びた竹なのです。
こんなに立派な太さなのに。。。
いやあ、恐るべしです。
話は逸れましたが、つまりはそれほどまでに大きくなるタケは、通常の都市空間や住居空間に入れてしまうと管理が非常に難しい!
そのためにあまり大きくならないヒメアケボノモウソウが今人気となっているのです。
このヒメアケボノモウソウが脚光を浴びたのは、ニューヨークのBig Apple Manhattan IBMに導入されたのが始まりだったそうです。
http://www.bigapplesecrets.com/2015/01/bamboo-indoors-oasis-in-centre-of-city.html
シャープなランドスケープに竹の直線が加わり、何ともスタイリッシュな空間になっています。
これから逆輸入の形で日本でも人気が爆発。
京都の迎賓館や六本木ヒルズ、東京ミッドタウンをはじめ2016年5月開催の伊勢志摩サミットでも納品されました。
ここ福岡では、マリノアシティなどでも納入されているそうですよ!
世界中探してもこのワカヤマファームさんしか生産していないヒメアケボノモウソウ。
なんとも魅力的な品種でした。
弊社代表と若山さん
ちなみにそれ以外にも、根津美術館に使われていることで有名なキンメイチク。
日本古来より自生するマダケ。
地際の節が七福神の布袋さんのようになっていることから名付けられたホテイチク。
耐寒性の強いキンメヒメハチク。
これ以外にも多くの品種を育てているワカヤマファームさん。
竹についてたくさんの知見を頂きました。
そして何よりも、見事に管理されたモウソウチクの竹林はただただ圧巻の一言で、今となっては荒れてしまった日本各地の竹やぶも、何十年何百年前に人の手が入っている時はこのように整然とした美しさだったのだろうなあ、と思いをはせた旅でした。
ちなみに、こちらの若山農場では竹林散策やタケノコ堀などの体験も出来るそうなので、興味のある方はどうぞ^^